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天天晴天:台湾ドラマと中華なドラマ

台湾ドラマや中華なドラマの感想を書いています。吳慷仁が好きです。

「一把青」の郭軫2

吳慷仁 一把青

現在、台湾の公視で放送中の「一把青」は、16日に第9話と第10話が放送され、全30話のうち三分の一が終わりました。

 

吳慷仁はもはや郭軫です。

この先、ドラマがどのような展開になっても、郭軫は吳慷仁が演じた中でもっとも心に残る人物のひとりになると思います。

 

序盤の郭軫があまり見せていなかった面も見られるようなり、彼の繊細さや根底にある孤独、ある種の恐れ、そういったものがより感じられるようになってきました。朱青に対しては激しいけれど、様々な理不尽を受け入れる郭軫。朱青のもとにだけ、彼の実体が存在するかのようです。

 

原作や事前の番組紹介などから、郭軫と朱青はもっと急速に結ばれて、そのあと離れ離れになるのかと思っていましたが、ここまでの二人の関係は決して単純ではありません。郭軫の退役勧告、航空学校教員への就職内定、上司の罪を被ったことによる内定取り消しと退職後の手当の消滅、彼の活躍の目撃者による思わぬ退役取り消し、こういった中で、朱青との関係も翻弄されていきます。

彼に明らかに魅かれながらも、堅強な朱青。郭軫にとって飛行員生命の終わりでもある退役の勧告は、朱青にとっては、彼がもう危険を冒さなくてよいことを告げる出来事でしょう。それを郭軫もわかっています。二人で南京を去ることを決めますが、彼さえいれば何も怖くない朱青に対し、二人になったことで怖さを知る郭軫。他の些末なことによって事態を複雑にされることなく郭軫と二人でいたいと思う朱青と、退役取り消しにより再び飛行員になる郭軫。

 

第10話では、郭軫と朱青はお互いを思ったまま、朱青は立ち去る決意をし、“513”と“女学生”に別れがやってきます。教会でお互いのために祈るシーンは、この二人には珍しく素直に思いを伝えあう、愛を感じるシーンでした。

 

愛を感じる、と書きましたが、劇中、好きとか愛しているといった言葉はおそらく一度も出てきていないのではないでしょうか。このドラマは、全般に、暗喩が美しく組み込まれていて、印象的な台詞が多い作品だと思います。

 

朱青と郭軫が別れる、といっても、この二人が結ばれることもわかっています。それがわかっていても、この先がとても気になりはまっていくのは、この、先がわかっている、ということを、このドラマがうまく利用しているからではないかと思います。先の展開を見越した台詞や、言動がかなり多くみられ、象徴的な台詞になったり、綿密に張られた伏線になったりしています。私たちは、わかっていても、感づいていても、その上でその道を選ぶことがあります。時代の影響を受けながらもけっして弄ばれたのではなく、その時代の中でそれぞれの意思でそれぞれの道を選び生きた人として登場人物たちが描かれていることがドラマの魅力のひとつではないでしょうか。

 

郭軫は、このあと、朱青と結婚します。ずっと雪が降ることを祈りながらも一度は離れることにした郭軫がどのような過程を経て再び朱青のもとに行くのか、そして去る決意をした朱青がどのような思いの変化で彼のもとに戻るのか、とても楽しみです。

 

劇中、吳慷仁は何度も煙草を吸っています。郭軫には非常によく合うのですが、喫煙者が多い時代の話とはいえ、ここまで喫煙する役は珍しい気もします。他にはベテラン整備士の老鞏や九大隊の分隊長を演じた黃健瑋が煙草を吸っているのですが、大隊長(楊一展)や副隊長(藍鈞天)は吸いません。この違いは役柄を表す演出であると同時に、もしかすると、喫煙者が演じた役が喫煙者になったのかなという気もします。

黃健瑋は短いシーンながら煙草の扱い方でさえ男らしさを醸し出していて見入ってしまいましたし、老鞏は喫煙していたかどうか気づかないほど生活に根差した自然な動で、これもまた老鞏らしい。郭軫はまたちょっと違う趣で、その時々で吸い方も違いますし、慣れた扱い方や様になる仕草に郭軫の生身の男らしさを感じます。

 

郭軫について、吳慷仁が最初は自分とはまったくタイプが異なると思ったという話はここにも書きましたが、

「一把青」 公視で本日放送開始 - 天天晴天:台湾ドラマと中華なドラマ

その話もしているインタビューが先週、再び公視からアップされていました。後半では、自分自身の中に郭軫の要素があることにも触れています。内容自体は放送開始前に他の出演者と組み合わせてアップされていたものと同じではないかと思います。放送後には、撮影中は自分と似ていると思ったけれど今見ると印象が違うという話もしているので、そのときどきで感じることは違うのかもしれませんね。

 

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