天天晴天:台湾ドラマと中華なドラマ

台湾ドラマや中華なドラマの感想を書いています。吳慷仁が好きです。

「カノジョの恋の秘密」 第32話(最終話)

「カノジョの恋の秘密」(金大花的華麗冒險)第32話。ついに終わってしまいました。思っていた以上に寂しいです。ダーホァとテリーをずっと見ていたくなるような、登場人物が愛おしくなるドラマでした。

 

ダーホァがかわいく、軸をしっかり作ってくれたことは大きかったと思います。

よくよく考えてみると、劇的なのは最初だけで、恋愛初心者のダーホァが揺れているだけとも取れるのですが、彼女の気持ちの変化が細やかで、視聴者的疑問は誰かがたいてい確認してくれて、謝欣穎がしっかりダーホァの思いを伝えてくれるので、はっきりしない時期が長くてもダーホァを好きなまま、流れのままに楽しめました。人物の気持ちについて(だけは)細やかなシナリオも謝欣穎もよかったです。

 

そしてテリー。当初、こんなにテリーにはまるとは思いませんでしたが、テリーが大好きになってしまいました。吳慷仁は好きですが、それとは別に、吳慷仁が演じたテリーが好きです。失意のテリーはいつしか心の中の名物コーナーに。

 

以下、ネタバレあります。

 

 

 

予告に出ていた、ダーホァとテリーがそれぞれ後ろを振り返る瞬間は、車2台に阻まれてすれ違いのまま終了しました。でも、ダーホァは、喫茶店に残っていたチン・モーと再会します。

外見が変わったことで人生も変わったとチン・モーに感謝するダーホァに、テリーとの出会いが人生を変えたと話すチン・モー。

ダーホァとテリーが出会った時には、テリーにはリャンエンという最愛の婚約者がいましたし、ダーホァがテリーのもとに来ることになったのは、リャンエンが事故にあったことを隠すための身替りです。だから、ダーホァとテリーの出会いそのものは、二人にとって思い出になるような出来事ではないはず。でも、この思いもよらない出来事をきっかけに、ダーホァはテリーに手を引かれながら別世界で「華麗冒險」をしていたのですよね。そして別世界の王子様に嫁ぎかけたけれど、やっぱりお家に帰ることにしたダーホァ。テリーに連絡をしようとするチン・モーを止めますが、テリーと同じ「縁があればまた会える」という言葉を口にする様子からは、彼への思いが感じられます。

 

ショーウィンドウのウェディングドレスを見てテリーとの日々を思うダーホァ(の回想)に少し甘い気分になったのも束の間、ダーホァは次に通りかかった旅行代理店のワーキングホリデーのポスターに食いつき、即座に入店します。さすが整形での身替りをも決意できるダーホァ、行動力が違います。ここ、その後にわかるのですが、ダーホァは入店どころか、申し込みをし、入金まで終えているのですよね。もう毒されているので何をしても気になりません。

 

グァンジュンは親分の会社、ルンジュアン不動産に辞表を提出します。

グァンジュンを引き留めながらも、無理強いはできないからと娘を押し付けず、それでも将来シャオフェイを好きになったなら、と言いかけてそれもやめる親分。リャンエンパパもそうでしたが、このドラマに出てくる人たちは、自分の思いがありながらも相手の思いや立場も理解しようとして、歩み寄ろうとします。望むことが違っても相手の思いを理解して心を通わせ合うところが好きです。

パパの言葉には少々不満げな表情を見せていたシャオフェイも、もうつきまとわない、と言いだし、グァンジュンは結局、辞表を持ち帰ります。

グァンジュンは再び市場に戻って元気に生活するのかと思っていたので意外な展開でしたが、このシーンをはじめ、終盤のグァンジュンはすっかりおとなしく落ち着いた雰囲気になってしまったので、会社にいる方が合っています。序盤の市場の兄貴が懐かしいです。

 

ジョンソンを呼びし、これまで競い合いに無駄な労力を費やしてきたことのバカらしさを語りかけるテリー。同意しながらも簡単ではないと話すジョンソンにテリーが言った言葉は「誰かが扉を開けないと」。そう言って、社長を辞してその座をジョンソンに譲ると話しますが、この「誰かが扉を開けないと」という言葉は、とてもテリーらしい一言です。テリーは自分の手で切り開き、すべての責任を黙って負おうとする人。そして今、テリーにとっても、新しい一歩を切り開く時なのだと思います。この場面で、承諾したと言ってほしい、会社を立派に経営して盛大グループを繁栄させてくれとジョンソンに迫るように話す時の真剣なテリーがかっこいいです。かっこいいテリーの見納め。

 

今日の視聴者代表はチョンホンです。視聴者がテリーに聞いておきたいことをテリーに確認してくれます。

“彼女に会えば自分の心を抑えられなくなるのが怖い、彼女から愛していないと言われるのも怖い、何より怖いのは愛していないと言われても彼女を諦めきれない僕自身”。テリー(涙)。チョンホン、抱きしめてあげてください。

 

ダーホァのオーストラリア行きの知らせを聞く一家のシーンは序盤のダーホァとグァンジュンを思わせる雰囲気です。やっぱり兄貴風のグァンジュンと元気なダーホァはかわいい。

公園で語り合うダーホァとグァンジュン哥も、以前の二人のようで生き生きとして見えます。お互いの気持ちを確認し合うことはないけれど、家族という言葉の通り、仲の良い兄妹なのでしょうね。

 

「もし1年で戻ったらもう一度私を花嫁にしてくれる?」の相手はテリーでしたね。その言葉は送らなかったけれど、ダーホァの心にいる男性はやはりテリー。家を出て別の世界で冒険をしたダーホァは、初めて本当の恋をした、といったところでしょうか。何度も書いては消してを繰り返したメールは、結局どれひとつ送れないままです。

 

ダーホァ、今回は自らのために、そして今回は本当に、オーストラリアに向かって旅立ちます。ここでなんと、グァンジュン人形「熊さん」がお見送り。中身はグァンジュン。空港にこんな着ぐるみで登場するサプライズが嬉しいことなのかとか、それ必要?とか、そんなことはどうでもいいくらい、ダーホァがかわいいです。そして、またもやグァンジュンの贈り物は熊さん。振り出しに戻ったようだけれど、今度は嘘はなく、二人とも心からの笑顔を見せてお別れです。「ハグしよう」からのグァンジュンの表情が本当に優しげで、失望の極みだったグァンジュン株が急上昇。たぶんこれは溫昇豪効果です。

ハグをしているときのグァンジュンは、本当にこういうお兄さんいたらいいなあと思うような穏やかで温かな顔をしていて、大切で大好きだけれど、兄妹なんだなあと思わせてくれます。見送った後はちょっと寂しげだけれど、これがグァンジュンの答えなのでしょうね。

 

「もし縁があるなら僕らはどこにいても会える」。何度も出てくる台詞なので、意味があるのだろうとは思っていましたが、その、どこか、が、まさか行きの飛行機だとは思いませんでした。早過ぎるけれど、それだけ縁があるということでしょう。リャンエンがいた時期からの二人の日々を見ていて、やっぱりこの二人よね、と納得しました。仮の姿で始まった物語は、一度は終わったけれど、今度は本物として始まる。二人は今度こそ、迷いなく、手を取り合って歩いていくのでしょう。

 

リャンエンパパによるダーホァ養女の申し出や、裏がありそうだった秘書課のお姉さんのように、どうなったのかわからない話もあり、ストーリー展開としては細かいことは気にしない系でしたが、ダーホァやテリーの心は細やかに描かれていて、謝欣穎と吳慷仁もそれをしっかり見せてくれたので、32話、しっかり楽しめました。

リャンエンの病状を隠したり、亡くなったことを隠したりといった部分の説得力がないのが難点で、その辺りはもう少しなんとかできた気もします。でも、それ以上に難点だったのは、やっぱりグァンジュンです。

溫昇豪からの不満はなかったのでしょうか。

グァンジュンはダーホァを愛しているけれど自信がないから奪えない、という時点で、煮え切らない感たっぷり、かつ溫昇豪なら行けるだろう感たっぷりなのですが、そうだからといって、シャオフェイの好意を同意の上とはいえ利用したり、身を引くといいつつはっきりしなかったりするのは、さらにどうしようもない感満載で、グァンジュンの良い面が中盤以降ほとんど見られなかったのが残念です。気持ちの変化がダーホァとテリーに比べて見えにくかったかなと思います。

グァンジュンは、溫昇豪だからいい部分と、溫昇豪の良さゆえに損な部分とがあって、俳優さんの持ち味と異なるタイプの役はどう転ぶか難しいのだと思いました。希望としては、グァンジュンにはずっと市場の兄さんキャラ全開でたとえ自信を失ってもダーホァに向かってきてほしかったし、シャオフェイが結婚式に待ったをかけた後はどういう方向でもはっきりした気持ちを伝えてほしかったです。そして最後は、最初と同じような雰囲気で市場を闊歩してくれたら言うことなし。

 

とはいえ、かわいいダーホァと繊細で優しいテリーがお互いを思い合う様子はとても心惹かれ、それだけでも満たされるものがありました。吳慷仁による失意のテリーもたっぷり堪能できてよかったです。