天天晴天:台湾ドラマと中華なドラマ

台湾ドラマや中華なドラマの感想を書いています。吳慷仁が好きです。

「皇帝の恋 寂寞の庭に春暮れて」第35話~第37話

「皇帝の恋 寂寞の庭に春暮れて」(寂寞空庭春欲晚)、第35話~第37話。絡んだ糸は解けません。

 

以下、ネタバレあります。

 

 

 

 

琳琅を探す皇帝たち。身をひそめ、空き家に逃げ込む琳琅と長慶。

二人で食料を探す琳琅と長慶は、けっして安全な状況ではないものの幸せそうな様子です。まさにひと時の幸せ。

琳琅といる時のお兄さんモードの長慶はとても優しいです。長慶には、強さゆえの優しさがあります。芸初が見ていたのはこういう長慶なのですよね。

 

長慶は、両親と兄の墓前に仇討ちを誓います。芸初は死んだ、私に希望はない、この命に懸けて皇帝に復讐を果たす。もしも芸初が生きていたら、長慶は違う選択ができたかもしれないのに。ただ復讐だけが長慶を支えているかのようです。

 

長慶はあえて琳琅を自ら皇帝のもとに送り届け、琳琅を助けた手柄で御前太監になりました。長慶は本当に賢いです。その賢さが復讐に生かされているのが問題ですが、容若とはまた違ったタイプで、優秀な戦略家のよう。二人に比べて皇帝は、さほど冴えた感じも見受けられず、ここでもあっさり長慶を信じます。

 

長慶は、琳琅に問われ、復讐を続けるつもりであることを認めます。家族が殺されたことを忘れ幸せに生きてこられた琳琅と、仇を討つために8年間耐え続け、愛する芸初まで失った長慶とでは、復讐への思いやこれまでの苦難の日々の重さが違うのでしょう。

 

琳琅はまたもや選択を迫られます。

長慶を告発して皇帝と生涯を共にするか、長慶に協力して家族と芸初の仇を討つか。

どちらも選べない琳琅に、ならば何もするなと言って立ち去る長慶。兄妹はお互いを思い合いながらも、兄は皇帝を狙い、妹は側で守るという、妙な日々が始まりました。食事、お茶、香、靴。琳琅は皇帝の側で長慶による復讐から皇帝を守り続けます。

 

容若、靴のチェックはトントンするだけにしておけば良かったのに。

皇帝の靴に手を入れた容若は、毒虫に刺されてしまいました。実兄が愛する人を狙い、かつて愛した兄のような人が身代わりになる。琳琅はどこまでがんばれるのでしょうか。

口紅を塗らずに寝ている容若はかわいいです。

 

琳琅が四六時中皇帝のもとにいることが太皇太后に知られ、琳琅は乾清宮出入り禁止となってしまいました。これも長慶の策略。長慶は画珠をうまく動かし、琳琅を遠ざけ、復讐の機会を伺い続けます。

長慶の復讐を阻止した琳琅は、皇帝を愛していることを認めながらも、一緒に宮廷を去ろうと兄に持ち掛けます。琳琅にとっては、自分が愛する人と結ばれないとしても、皇帝の命を守れるのですから、選ぶ価値のある道でしょう。でも、長慶にとっては、もはや復讐だけが生きがいです。皇帝の聖旨で家族を失い、復讐だけを支えに生き抜き、そのために太監にもなり、愛する芸初を皇帝の手下によって失った長慶が、ここで復讐を諦めたとして、今までの人生をどうやって受け止めればいいのでしょう。

 

容若に薬を飲むように迫る皇帝が若干パパのよう。

 

琳琅と恵妃の杏仁酪の作り方が同じだったことで、太皇太后は二人の関係や琳琅の素性に疑問を抱きます。琳琅は納蘭家にいるときに作り方を学んだのでしょうか。これは何かの伏線になりそうですね。

 

画珠は皇帝とのことで他の妃嬪からもばかにされ、お付きの女官にも軽んじられ、唯一の肉親であった母親も亡くしてしまいます。芸初、翠雋、画珠の女官4姉妹の中で、もっとも計算高そうな画珠でしたが、悪い子ではありません。琳琅が皇帝のもとを離れない理由を知らない画珠は、琳琅が裏切ったと思っていますが、自分の母を弔う琳琅の姿を見て揺れ動きます。

 

毒虫に噛まれた手を見ているはずが、喧嘩で傷ついた拳を眺めているように見える容若。何かがおかしい。

 

長慶が毒を仕込んだ櫛は、皇帝の髪を梳くことなく画珠の手に渡り、画珠の命を奪ってしまいました。芸初に続き、画珠もまた、琳琅に抱かれて息を引き取ります。画珠は自他ともに認める美人ながら、側室になってから皇帝の寵愛を受けることはなく、親友に裏切られたと思ったまま、それを許して死んでいきます。華やかで強く見える画珠は、実はか弱い女の子だったのかもしれません。

 

容若はさすが切れ者です。以前から琳琅と長慶の様子に目を光らせている様子でしたが、緻密に詰めて真実に近づいてきます。こんなに切れるのに、どうして靴の中に手を入れたのか。

 

容若の捜査が進んでいることを知った琳琅は、皇帝のもとに行き、皇帝を殺すために自分が櫛に毒を仕込んだと告白します。長慶が捕まることを回避するための行動なのはわかりますが、そんな嘘をついても事態は混乱するばかりです。そして琳琅は、皇帝を刺してしまいました。琳琅が戻った時に、戻った理由は自分への好意だと受け止めた皇帝にはさすがにお気楽すぎると思いましたが、ここまで来て殺意を告白され、その証明のように刺されてしまうとは、皇帝、もう琳琅とは縁がないと諦めた方がいいような。

 

容若に櫛がほしいと跪いた琳琅。ついに、長慶が兄の阿思海であることを容若に告げます。

 

このドラマは、琳琅と皇帝と容若の三角関係のように始まりましたが、琳琅と長慶を含む3人の大切な男性との物語に思えます。愛する人を選ぶという意味では、もうすでに決着していて、琳琅が愛する人は皇帝です。それでも、容若の命と天秤に掛けられれば容若と共に死ぬことを選び、長慶を守るためには皇帝を傷つける。愛する人か実の兄か、というタームになっても容若が重要な人として存在し続けるのもおもしろいです。