天天晴天:台湾ドラマと中華なドラマ

台湾ドラマや中華なドラマの感想を書いています。吳慷仁が好きです。

「風中の縁」(の九爺) 第27話から第29話まで

「風中の縁(えにし)」(風中奇緣)、第27話から第29話。

 

胡歌による九爺をとても好きになってしまいました。

九爺は気品があり優雅、同時に理性的で思慮深く、達観しています。外に向かって何かを得ていくのではなく、自分がすべてを受け入れていく本質的な強さは魅力的です。

そして胡歌が演じたことで、枯れていながら色香があります。

これはかなり大きなポイント。おそらく、胡歌が演じていなかったら、ここまで九爺派にならなかったと思います。胡歌は、善良な好青年を演じているときよりも、こういった抑えた役柄を演じているときの方が素敵に見えるのですが、ファンの方から見るとどうなのでしょうか。

 

以下、ネタバレあります。

 

 

 

一緒に餃子を食べていちゃつく莘月と無忌があまりにかわいくて微笑ましく、もうここで最終回でもいいわ、と思ってしまいました。

すると突然、九爺挿入。重い。

必死で歩く練習をする九爺ですが、九爺、もう遅い。それに、諦めるはずだったんじゃ…。

 

莘月、無忌の子をご懐妊。

莘月よりも、無忌よりも、誰よりも早く九爺が気づき、九爺によっておめでたが告げられます。この時点で十分につらいのに、九爺の目の前で「父親になる」と5回も繰り返す無忌。そしてまたもや莘月を抱きかかえて立ち去ります。まるで九爺を痛めつけるシーンを見ているよう。

もし九爺の足が悪くなければ、もし九爺も子供を持つことができれば。そのどちらかひとつでも違っていたら、九爺は自分でも莘月を守れると考えたかもしれない、そんな風に考えて見ていると、決して超えることのできない壁が九爺の目の前に立ちはだかっているかのように思えます。無忌は、九爺がどれだけ努力してもできないことを、難なく、容易にこなしてしまいます。

 

自分の努力では変えられない部分を突きつけられるのは、つらいことです。九爺はそういうたくさんのことを、ずっと、黙って受け入れてきたのでしょう。

側近たちに向かって、莘月が身ごもった、少し驚いたけどうれしかった、お祝いに何を贈ろう、今日の莘月は今まで見た中で一番幸せそうだった、やっと家族ができたんだ、と笑顔で話す九爺は、傷つき過ぎておかしくなったんじゃ…と思うほど、平然とした笑顔です。

「人を愛するとは相手の幸せを喜ぶことだ」。九爺はそれが本当にできる人だと思います。でも、だからこそ、こわい。そうやって、自分を犠牲にしてでも莘月を幸せにしようと考えそうで、九爺が心配になります。

 

車いすの上で刀を振り回す九爺、というより、胡歌さんがかっこいいです。胡歌はお茶を飲んでも、何か物を取っても所作がきれいですし、決め方を知っている、といった感じで、何ごとも様になります。この場面は、平静を装っていた(けど、明るい笑顔すぎて変だった)九爺が、ようやく気持ちを外に放出できた感じ。発散したといっても十分に抑え込んでいますが、基本、自虐的な九爺にしては、かなり健全な発散方法だと思います。

 

莘月、無忌の留守に早々に投獄。

ここで驪姫を見殺しすれば、後になって悔いることになるので仕方なかったとは思いますが、一緒に投獄されるより外から助けた方が良かったような。

そして嫌な予感的中。九爺が助けを求められてしまいました。

もう九爺のことは放っておいてあげてほしい。せめて、もう少し時間をあけてあげてほしいです。九爺が助ければ、無忌はまたいら立つことになり、そのせいで莘月は板挟みになり、いいことがありません。

 

九爺が莘月のためにはらう犠牲は大き過ぎます。長年接見を避けてきた皇帝に莘月を助けるよう頼みに行き、南朝に力を貸すことになってしまう。莘月の幸せに向かってすべてをかけてしまいそうな九爺が心配でしかたない。

 

それにしても、九爺は頭がいいです。

そして、獄中で驪姫が語った砂漠での九爺が心を鷲掴み。

膿と血だらけの子供を宝物のように胸に抱えて治療した、まだ子供の王太子の抱擁の要求を微笑みつつ拒絶した、誰よりも気品があった、担う責任や重荷に疲れている様子でも微笑みを絶やさなかった。すばらしい。九爺はスケールが違います。

驪姫が、だけど彼の心の傷はまだ癒えていない、と言うのですが、驪姫が知っている九爺の心の傷って、何。莘月のこと?

その莘月:人に尽くす彼を誰が気遣ってあげるのかしら。

他人事に聞こえるのは九爺派だからでしょうか。

 

毒を盛られた莘月を治療する九爺は久々に凛々しいです。

死なないで、お腹の子供のために、無忌のために、そして、私のために、と言うときの「私のために」までの間がなんとも切なく、わきまえた九爺の深い思いを感じてしまいました。このところ若干情けなかった九爺がぐんぐん挽回してきます。

 

身体が弱いのに3日間も不眠不休で大丈夫なのかしらね、と思っていたら、やっぱり倒れました。九爺、弱い。でも、子供の無事を尋ねる莘月に「安心しなさい 無事だ」という時の九爺がやさしくて、うっとり。こんなに身体が弱いのに、頼れるんですよね、九爺って。

 

残り6話まで来ましたが、無忌不在と胡歌さんのおかげで、現在、完全に九爺派です。