天天晴天:台湾ドラマと中華なドラマ

台湾ドラマや中華なドラマの感想を書いています。吳慷仁が好きです。

「皇帝の恋 寂寞の庭に春暮れて」第31話

「皇帝の恋 寂寞の庭に春暮れて」(寂寞空庭春欲晚)、第31話。灯が消えるように終息するかと思えた琳琅と容若の関係が再び動き始めました。

 

以下、ネタバレあります。

 

 

 

 

過去を思い出し、仇である皇帝のもとを去る決意をした琳琅。皇帝にしてみれば、ほんの少し前までは夫婦としての永遠を望んでいた琳琅が、意識を失い回復した途端に自分を拒むというまったく理解できない出来事です。琳琅に尋ねても、死者を蘇らせることができるのか、過去を消せるのかと詰め寄られ、一生恨むと言われる始末。皇帝という立場のためかと歩み寄ってみるも効果なし。理由もわからずに天国から地獄の皇帝がかわいそうになります。

 

琳琅は宮廷を去る決意をします。そして容若は、琳琅が皇帝を愛していると知り、そのことを認めながらも、琳琅と共に去ることを決めます。まさにすべてを捨てる容若。容若は本当に一途ですね。

こんどこそ二人で宮廷を脱出できるかと思いましたが、またもや失敗してしまいます。琳琅と容若はいったい何度、脱出に失敗しているのでしょう。もう逃げられる気がしません。

 

琳琅と容若の話を立ち聞きし、二人が愛し合うがゆえに駆け落ちをすると思った長慶たちは、容若を人質に、琳琅に皇帝を殺すように迫ります。

納蘭を殺すか皇帝を殺すか自分で選べ。

思わぬ形で、琳琅は、容若か皇帝かの選択を突きつけられました。愛する人がどちらか、自分が共に過ごす人はどちらか、それだけではない、命の選択です。

 

たとえ仇であっても、容若の命がかかっていても、愛する皇帝を自分の手で殺すことはできませんよね。杏仁酪を前に毒薬を取り出すものの入れることはできない琳琅。すでに容若と琳琅が襲われたことを知りながらも琳琅の杏仁酪を口にする皇帝。こんなに想いあっているのに。初期に、琳琅と容若を見ながら思っていた気持ちが蘇ります。

 

琳琅が自分を拒む理由を知らぬまま、結局は容若への想いには勝てないのか、と悩む皇帝。

皇帝への贈り物である刺繍をしながら、容若が守り続けてくれたことを思う琳琅。

拘束された部屋で梨の花びらを見て、かつてお仕置を受けた時に琳琅が共に過ごしてくれたことを思い出す容若。

 

容若の満面の笑みというのは、10代と思われる容若と琳琅のシーンでしか見られませんが、容若もこんな風に笑うのね、と思うほど大人になった時と雰囲気が違います。梨花餅ごっこはちょっと笑えますが、かつての幸せそうな二人は微笑ましいです。

 

刺繍を終えた琳琅はそれを皇帝に贈り、自ら皇帝に抱きつきます。なんとキスまで。琳琅、意外に積極的。心を決めかねているにせよ、こんなに時間が経ってしまったら、そろそろ長慶たちから催促が来るのではないかと思っていたら、琳琅が動きました。刺繍を皇帝の枕元に残し、一人、出かけて行きます。後をつけているのは皇帝ですね。

 

琳琅が向かった先は、長慶たちとの約束の場所でした。毅然と、木に縛り付けられた容若のもとに歩み寄ります。

自分に構わず愛する皇帝のもとに戻れと言う容若。

容若には大きな借りがあって今生では返しきれない、皇帝を殺せない自分にできるのは容若と死ぬこと、と答える琳琅。

これはなんとも複雑です。琳琅にとって、愛する人は皇帝でも、容若は今も自分の命を捧げるに値する存在。優しい表情で梨花餅が食べたいと言う容若と、来世で必ず作ってあげると答える琳琅。本当に来世があるならば、この二人に結ばれてほしいです。

 

二人が斬られる、まさにその直前、皇帝が登場しました。騒動の中、過去を思い出し混乱して斬り合いの中に入っていく琳琅を助け、抱きしめる皇帝。まさにヒーローです。そして、それを見つめる容若。というより、見せつけられる容若。命が奪われる寸前の方がむしろ幸せで、無事救出された途端につらい現実が待ち受けます。これが二番手というものなのでしょう。

 

追われる長慶を助けたのは芸初でした。芸初、えらい。

後をつけてきたという芸初に、死ぬところだったと叱り、自分の家族は皆殺された、芸初まで死ぬ姿は見たくないと言う長慶。ようやく本当の気持ちを伝えます。そして、自分が知っている長慶の本当の姿を話す芸初。かわいい。ついに、長慶は心から芸初を受け入れました。芸初の言う通り、二人で遠くに逃げて幸せになってもらいたいのですが、この二人には、常に悲劇の気配が漂います。

 

眠る琳琅を想い悩んだ様子で見つめる皇帝は、間の悪いことに、「容若哥哥あぶない」という琳琅のうわ言を聞いてしまいました。「そなたが選んだのは容若か」と尋ねる皇帝。いえいえあなたです。容若を愛しているのならなぜ結婚を許した時に拒んだ、という問いかけに、そこまで戻るか、と思いますが、この質問への答えはむしろ簡単です。仇だと思っていたから。そして今、皇帝を拒むのも、仇だから。

 

前にも後ろにも、右にも左にも行けない、まさに身動きが取れない感じになってきました。序盤、設定が雲中歌に重なり、琳琅が、雲歌や「風中の縁」の莘月や若曦のようになっていくのかと思いましたが、琳琅の思いは受け止めやすいです。仇である以上、受け入れられない、というのはどちらの男性への態度にも共通していますし、仇、という決定的な理由があります。それでも、皇帝のことは受け入れていくのかな、という気もしますが、兄の存在もありますし、先は読めません。とにかく、容若、がんばれ。